製本作業工程における技術力には、2パターンがあります。一つは機械加工におけるオペレーション力です。このオペレーション力は、操作マニュアルに則った機械調整し、素材にあった操作を的確に行い加工することができる能力です。二つ目は、多種多様な素材の条件に合わせて、瞬時にしてその加工方法を導き出して、いとも簡単に加工してしまう能力、すなわち体験を繰り返すことで積み上げてきた能力というものがあります。これはいわゆる匠の技とか職人芸と称される能力で、一朝一夕で習得するのは難しく、経験を蓄積することで積み上がってくるものです。
今回、『製本を科学する』プロジェクトにおいて、接着剤を紐解くにあたって、この経験的な積み上げ価値というものが一番影響しているのがエマルジョン型接着剤であると考えます。気候や天候の変化に合わせて水分量を調整したり、各種の接着剤を調合することで、素材に最適な接着性能を作り出して加工する。私たちはこの職人的な各社の核となるであろう技術力を、定量的に『見える化』すること、いいかえれば標準化することの意義を、紙媒体への新たな価値創造であったり、技術の伝承への貢献であったり、あるいは無用なトラブル回避への抑止力となると考え、切り込めるところまで切り込んでみたいと考えました。
内容における不備や不足があるかとおもいますが、ここに上程させていただきます。今後も新たな素材の出現や環境変化によって内容を更新する必要が出ると思います。是非皆様のご意見を伺いつつ、ブラッシュアップさせていきますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
2014年2月
東京都製本工業組合・製本+シナジー創造特別委員会
委員長 田中真文
製本を科学する実行委員 井上正
「製本を科学する」-第二弾:接着剤編 前編(総論・各論エマルジョン型)コンテンツ
- 【接着剤総論】
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- 接着剤の歴史
- 接着剤の種類(主成分による分類)
- 接着剤の長所・短所
- デンプン糊
- にかわ
- エマルジョン
- ホットメルト(EVA系)
- ホットメルト(PUR系)
- 接着剤の耐用年数
- 新製品開発の動向(環境対応型接着剤)
- 【接着剤各論】
- 前編・後編(2013~14年度事業)
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- 製本用接着剤の特徴
- 固化・硬化方法分類
- 平面塗布と断面塗布
- 水性接着剤主成分別特徴(被着体別接着適性)
- 〃 (用途別接着適性)
- 接着評価法①
- 接着評価法②
- 事例紹介
- エマルジョンと澱粉糊の混合
- 天糊
- 複写伝票
- セパレータ
- エマルジョンの使用期限
- エマルジョンの保管方法
- 刷毛の取り扱い
- 使用後の接着剤
- トラブルシューティング
- 上製本の表紙反り返紙防止
- エマルジョンのしみ出しによるブロッキング対応
- 表紙の小口糊部分の印刷色変色
- 天糊作業時のトラブル
- 紙種による接着剤
- オフセット印刷と糊
- デジタル印刷と糊
- 気候、気象条件による対応
謝辞
今回ご協力いただきました下記メーカー各社に対し深謝申し上げます。
なお、本稿の記載事項に関しての誤謬は全て東京都製本工業組合の責めに帰するものであり、調査先関係各位の責任を負うものではありません。
- ■ご協力企業
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- 旭化学合成株式会社 : www.asahimelt.com
- 石塚産業株式会社 : www.ishizuka-sangyo.co.jp
- 新田ゼラチン株式会社 : www.nitta-gelatin.co.jp
- ヘンケルジャパン : www.henkel.co.jp
- 株式会社松本久夫商店 : www.matsumoto-nori.co.jp
お問合せは東京都製本工業組合まで。
TEL 03-5248-2451 FAX 03-5248-2455
http://www.tokyo-seihon.or.jp/contact/