製本用語集

ちょうぼせいほん (帳簿製本)account book binding

会計帳簿などの製本様式の総称。一般出版物とは異なり、大きさ・体裁など一定の規格に従って製本する。上製本に限定される。帳簿類は長期の使用・保存に耐えるとともに、改竄・改装できないように高度の製本技術が要求される。 現在の帳簿製本を行程順に専門用語および小道具の名称を以下に記します。(東京工組帳簿部会長岸本衛氏 記)

  1. 帳簿用紙(罫線および印刷されたもの、オフセット印刷されたもの)が刷本。
  2. まず最初にこの刷本を帳簿独特の、重ねて二つ折りする(その際、中心から正確に左右均等にし、かた折りにしないこと)。小口切断のときに罫や文字の一部を切り落とすことが生じる。この折り上げたものを「ひとクサリ」という。通常90kgの紙7枚と6枚を基準にしてヘラ(ホーレン)で折る。(例 小口100枚の場合、7枚折り4クサリ、6枚折り4クサリ、合わせて8クサリで一冊小口枚数52枚になる。1枚は次回注文用に)。
  3. 8クサリ組み合わせたものに、表裏に見返しを貼る。見返し用紙はマーブル紙(天糊背巻きに使用する用紙の厚口のもの)。二つ折りのノドの部分に幅4cmくらいのクロスを貼ったもの。
  4. 見返しを貼り終わったものを糸かがり機にかけて綴る。その際、クサリの連繁を強固にするため「ミチカワ」と呼ぶ幅1.5cmくらいの布を2ヶ所か3ヶ所同時に綴り込む。
  5. 綴り上がった帳簿にナンバーを打ち込む。このナンバー打機(ノンブル機)は引き倒し式の、ナンバー打ち込み帳簿業者のみが使用している機械と思います。左右同様式の場合は、左右両ページに打ち込み、左右見通しの様式の場合は右ページのみに打ち込みます。
  6. ナンバー打ち込み完了後、見返しと本文の間に糊入れし、背を直角に揃えてボンド糊で背固めする。
  7. 完全に固定された後小口を切断する。
  8. 小口に色付けする。(茶こうぬり、またはパラ吹きつけ)
  9. 背を丸く、半円形にするバッケ出し作業。金槌にてたたきだす。浅い円形が一番良い。
  10. バッケ出しを終わった帳簿は背を低くするため、締め機に入れて数時しめる。
  11. 締め機より帳簿を取り出しバッケ直し(バッケの曲がり等を直す)の後、天地を切断する。
  12. 天地に小口同様、色付けする。
  13. その後、ミチカワに「バネ」と呼ぶ黄板紙(8号くらいの厚さのもの)を2.5cm~3cm幅、貼り付ける。
  14. バネ貼り後、背からバネにかけて和紙(力紙)を貼る。
  15. 「捨て紙」というクーター下貼りをする。これは背とクーターが付着しないように、背の部分を除き糊付けする。
  16. 表裏の表紙厚板紙に角丸し、角布またはレザーを貼ったものを貼り付ける。先に貼ったバネ部分に糊付けする。
  17. 背にクーターを付ける。板紙8号くらいを2枚貼り合わせた後、小口枚数の幅に合わせて切断する。さらに半円形のものに入れ、熱を加えて型押ししたものがクーターである。
  18. 背くるみ布またはレザーを背から表紙にかけて貼り込む。
  19. 背くるみを終わった帳簿に、ミゾ棒(約5mmの角形の棒)を上下のクーターと表紙ミゾに入れて積み上げて固定させる。この作業完了後、通常一晩動かさない。
  20. 表紙貼り、背くるみが終わり固定された帳簿からミゾ棒をはずし、仕上がり具合を点検する。背文字が逆であったり、ミゾ棒が正確に固定されなかった帳簿を手直しする。
  21. その後、表裏の平の面、背および角の布またはレザー部分を除き、レザーペーパー(雲形クロス)をボンド糊で貼り付け表紙と見返しの間に糊入れし、締め機により数冊ずつ締める。これを締め機から取り出し、全体を点検して仕上がる。