バンドband/raised band
表紙の背にバンドをかけたように隆起した部分をいう。欧米で本来行われてきた製本は、丁合い本の背に綴じ糸を通す穴を目引きしてあけ、綴じ糸を麻紐(コード)にからげて手綴じ(本かがり)していた。コードは中身の背にそって、両端は表紙と見返しにつつまれる。バンドが表紙・見返しと中身を接合したときの芯になり、頑丈な製本になる。その麻紐の隆起した部分をおおった表紙の背をバンド掛けした形に整えた状態を欧米では「ハブ」、わが国では「バンド」と呼んでいる。現在の糸綴じでは綴じ糸が隆起することはないが、表紙制作のさいわざわざその部分に板紙の小片を埋め込んでバンドを作っている。ブックデザインの上でも重要なイメージを特徴ある装飾として巧みに生かしたものである。