人材ビジネス主要3業界市場は6兆1,831億円(前年度比7.1%増)
先行投資の難しい事業者の淘汰が加速する見込み
矢野経済研究所は、国内人材ビジネス市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を発表した。
2018年度の人材ビジネス主要3業界(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比7.1%増の6兆1,831億円だった。
また、人材ビジネスの業務特化型6業界(技術者派遣ビジネス、営業・販売支援人材ビジネス、ネット転職情報サービス、アルバイト・パート・派遣求人情報サービス、製造派遣・請負ビジネス、医療人材サービス)の市場規模は同8.1%増の4兆430億円となった。
9業界の内、8業界が市場を拡大しており、特に「人材紹介業」「技術者派遣ビジネス」「ネット転職情報サービス」は前年度比で二桁のプラス成長を確保している。
2019年度の人材ビジネス主要3業界の市場規模は前年度比4.5%増の6兆4,624億円、業務特化型6業界の市場規模は同6.2%増の4兆2,931億円を予測している。
就労人口の減少が顕著となっている近年は、活発なサービス需要に対応するための人材供給力が確保できない人材サービス事業者が増えている。その対応策として、当該業務の未経験者を育成した上で派遣する“育成型派遣”のサービスが活発化している。特に、人材不足が顕著な成長産業においてその傾向に拍車がかかっている。
また、AIやIoTを中心とするテクノロジーの急速な進展に伴い、近い将来、供給過多が顕在化する人材分野もあることから、需要のある成長分野に適切な技術や知見を有する人材を供給し続ける労働力移動も重視されつつある。
先行投資としてかかる人材育成コストを回収し、事業を収益化するまでにはある程度の時間を要することから、先行投資の難しい事業者の淘汰がこれまで以上に加速するものとみられている。