出版全体は0.2%増の1兆5,432億円でプラス成長

電子出版市場が市場を牽引で、全体の約2割占める

 出版業界の調査・研究機関である全国出版協会・出版科学研究所は、『出版月報』1月号において2019年の出版市場規模を発表した。それによると、紙と電子を合算した出版市場(推定販売金額)は前年比0.2%増の1兆5,432億円だった。紙の市場は同4.3%減少したが、電子出版が同23.9%増と大きく成長したことで、全体の市場が2014年の電子出版統計開始以来、初めて前年を上回った。また出版市場全体にある電子出版の占有率は19.9%に拡大している。
 紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は、前年比4.3%減の1兆2,360億円で15年連続のマイナス。内訳は、書籍が同3.8%減の6,723億円、雑誌が同4.9%減の5,637億円。書籍は、話題書が多かったものの、縮小が続く文庫本に加え、文芸、生活実用書、学参などが低調だった。ベストセラーが多かったビジネス書、新書は前年を上回り、児童書も健闘している。18年に亡くなった女優・樹木希林の関連書が年間を通して好調な売れ行きだった。
 雑誌は、コミックス(単行本)の伸長で減少幅が縮小。内訳は月刊誌(コミックス、ムック含む)が同4.2%減、週刊誌が同8.1%減。月刊誌のうち、定期誌は約7%減、ムックは約8%減、コミックスが約4%増。定期誌はグッズ付録や人気アイドルの起用で、単発で売れる傾向が顕著だった。
 2019年の電子出版市場については、前年比23.9%増の3,072億円と、3,000億円を突破した。内訳は、電子コミックが同29.5%増の2,593億円、電子書籍が同8.7%増の349億円、電子雑誌が同16.7%減の130億円。特に電子コミックが約3割も伸びており、市場を大きく牽引している。電子書籍も、電子化点数の増加が一因となって緩やかな成長が続いている。しかし電子雑誌については、2年連続で大幅なマイナスとなった。

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