2018年度パッケージ印刷市場は微増で1兆3,825億5,000万円へ
脱プラスチック問題で包装材市場にも変化
矢野経済研究所は、国内のパッケージ印刷市場の調査を実施し、その結果を発表している。それによると、2017年度の国内パッケージ印刷市場規模は、前年度比1.2%増の1兆3,704億5,700万円だった。
主に食品・菓子分野の需要が堅調に推移し、市場を牽引したほか、日用品分野や化粧品分野もインバウンド(訪日外国人客)需要の回復により伸長した。化粧品分野は越境ECの拡大が加わり、比較的高く伸びた。医療・医薬品分野もジェネリック医薬品の拡大により増加し、紙器では医療用医薬品パッケージのバーコード表示の改定需要もあった。2018年度については、インバウンド需要は落ち着いてきたものの、食品分野を中心に依然として各需要分野は堅調に推移しており、市場規模は前年度比0.9%増の1兆3,825億5,000万円を見込んでいる。
パッケージ業界の潮目を変える可能性があるトピックとして、“脱プラスチック”の動きを上げており、紙器需要を底上げする可能性もあると指摘している。ただし現状の紙素材では、バリア性や耐水性などの機能性が他の包装材に比べると弱く、製紙メーカーではバリア性を高めた紙素材を開発、上市する動きが出ている。
その一方、国内のプラスチックユーザー企業においては、軟包装材の代替素材として紙素材を積極的に活用するところまでには至っていない現状がある。加えて、軟包装材のバリア性や軽量化による輸送負担の低減などメリットを訴求することで、他の容器からの代替需要を拡大させる好機と捉えている軟包装コンバータも多い。ただし、“脱プラスチック”の世界的な動きがあることから、更なる環境負荷低減を求めるケースが増えてくることも予測されるなど、今後も“脱プラスチック”に関する動きは注目すべき点であるとしている。