受け入れ先の不正行為は213機関
平成29年、外国人実習生の失踪が7,089人に
政府はこのほど、慢性的な人手不足となっている介護職種の人材を確保すべく、2020年までにベトナムから1万人を受け入れる方針を打ち出した。昨年11月に外国人技能実習制度の対象に介護職種が追加されたことを受け、同制度を活用しながら年内に3,000人のベトナム人を受け入れるという。
技能実習制度は、労働力の需給調整の手段として行われてはならないと基本理念に記されているが、技能習得後に、改めて日本で就労してくれる人材確保を狙っている。
しかし、1993年に制度化された外国人技能実習制度は、様々な課題を抱えている。法務省が3月にまとめた「技能実習生の現状」によると、平成29年に外国人の研修・技能実習の適正な実施を妨げる「不正行為」を行ったと認められると通知した外国人研修生・技能実習生の受け入れ機関は、213機関。2年連続で減少しているものの、前年と同じく、労働時間や賃金不払等に係る労働関係法令の違反に関する「不正行為」が最も多い。
問題は受け入れ先の不正行為だけではない。ある印刷会社の社長が指摘するように、受け入れた外国人技能実習生が半年経たずに失踪するという。
例えば、ベトナム人の技能実習生の失踪は平成24年の496人から平成29年に3,751人と7倍以上に増加している。他の国の実習生を合わせるとトータルで平成29年に7,089人が失踪している。技能実習生の失踪に関しては、以前から対策が進められているが、受け入れ先の中小企業が単独で管理し続けるのは非常に難しい。
失踪理由として賃金や職場でのハラスメントが要因の一つに挙げられるが、入国するためだけに技能実習制度を利用して失踪するケースも多々ある。こうして失踪した外国人は、さらに悪質な不法労働にさらされかねない。