人手不足の倒産、3年連続増
小規模倒産が2倍に
少子高齢化による労働生産人口の減少が年々、顕著になりつつある。帝国データバンクがこのほど発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2018年4月)」によると、正社員が不足していると回答した企業は全体の49.2%を占め、1年前の同調査から5.5ポイント増している。今年5月の有効求人倍率は1.60倍と、1974年1月以来、44年4ヵ月ぶりの1.6倍台に達し、企業の人手不足を裏付けている。
こうした中、帝国データバンクでは、従業員の離職や採用難等により収益が悪化したことなどを要因とする倒産(個人事業主含む、負債1,000万円以上、法的整理)を「人手不足倒産」と定義し、2013年1月以降から2018年上半期までの5年半で発生した倒産を集計・分析した。
調査の結果、2018年上半期(1~6月)の「人手不足倒産」は70件発生し、負債総額が106億7,700万円となった。件数は3年連続で前年同期を上回った。負債規模別件数を見ると、「1億円未満」が38件と過半数を占め、前年同期の2倍に達している。
中小企業は後継者問題による廃業だけでなく、こうした人手不足に起因する倒産も相次いでいることから、業務改革や自動化、そして多様な人材を活用する働き方改革が望まれている。
しかし、中小企業で人材を確保するには、給与の問題も出てくる。今、大手企業をはじめ、多くの企業が給与や労働条件を改善して、人材確保に躍起になっている。東京商工リサーチが実施した2017年決算「上場2,681社の平均年間給与」調査からもその動向が見て取れる。2017年決算の上場2,681社の平均年間給与は、599万1,000円(中央値586万3,000円)で、前年の595万3,000円から3万8,000円(0.6%)増えた。平均給与は2011年の調査開始以来、6年連続で前年を上回っている。