情報銀行で個人情報管理
パーソナルデータ提供で対価
三菱UFJ信託銀行は、個人が自らの意思でデータを蓄積・管理し、パーソナルデータ(PD)提供の対価を受け取ることができる情報信託機能を担ったプラットフォーム「DPRIME(仮称)」の提供に向けて、8月から実証実験を開始する。
日本国内では、個人の意思に基づくPDの流通・活用を進める仕組みの社会実装に向けて、総務省と経済産業省が検討を進めている。今年5月には「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会」(主査:宍戸常寿 東京大学大学院教授)で「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0(案)」を取りまとめ、いわゆる『情報銀行』の制度づくりに着手している。
EUでは今年5月に「一般データ保護規則(GDPR)」を施行。データの扱いはデータの主体である個人が決めることができるとし、個人の意思に基づくデータの利活用を推進している。一方、国内では現状、PDが様々な事業者に散在。PDの不透明な運用に対する消費者の不安が根強い。
三菱UFJ信託銀行のDPRIMEでは、個人が様々な事業者に散在している自己のPDを集約し、個人自らがPDの開示先や内容をコントロールすることが可能となる。三菱UFJ信託銀行では自らの利益のために利用せず、中立的な立場で管理し、集約されたPDを横断的・多角的に可視化・分析した結果を個人に還元するという。還元された個人は、自らの意思に基づき、当該還元結果を踏まえ、集約されたPDを提供することで対価(金銭や生活の質を向上させるサービス等)を得ることができる。
印刷業界でもPDは、パーソナライズDM等に利用されているが、情報銀行の制度整備によりPD運用がしやすくなる反面、活用に対して制約されるケースも考えられる。業界としても情報銀行に対する動きは注視する必要がありそうだ。